じゃあ紗音は何者か?彼女は福音の家の孤児です。
おそらく、従順で気の小さい性格・嘉音に似た顔・体格を見込まれた世話係です。紗音だけが異常に長い勤務なのは嘉音の事情を知ってるからでしょう。
嘉音が紗音を非常に慕っているのは、ほぼ唯一の心許せる友人だからかと。恩も感じてるんだと思います。
この辺で疑問に思うのは、金蔵は嘉音と紗音にずいぶんと酷い仕打ちをしてるのに、2人が逃げ出す気配がない事です。
嘉音は言わずもがな。軟禁されて自由がなく、やっと表に出たと思ったら男装を強制される。片翼の鷲のせいで夏妃にも恨まれてます。
紗音も辛い立場です。職場は人間関係・職能適正共に最悪。たまに来る親族にも苛められます。譲治との関係にしても、1度恋人関係になったなら仕事を続けるメリットは無いかもしれません。
金蔵は九羽鳥ベアトを軟禁するにあたって、彼女が逃げないように柵で九羽鳥庵を囲みました。
これは九羽鳥庵以外で育てられた嘉音には通用しない作戦です。どうしても嘉音(というかオリジナルベアトの依り代)を逃がしたくない金蔵は別の檻で彼女を囲いました。
それは源次が金蔵に大恩を受けた事情で、決して使用人を辞職しなかった理由からヒントを得たもの。物理的な檻じゃなく社会的な檻。
つまり戸籍を登録しない・あるいは動かせないよう細工する事で、島から逃げた後の生活が極めて苦しくなるようにしたのです。
・・戸籍に関しては私も素人なんですが、戸籍がないとどうなるか。まず入籍出来ません。子供が生まれても、子供も無戸籍になります。
その他、取れない資格・免許・パスポートといった身分証明書もありまして。戸籍がないのは非常に厄介らしいです。
また、戸籍があっても動かせない人もいます。犯罪・借金トラブルに巻き込まれた人達が戸籍を使うと居場所がバレるので使用できないケースです。源次は多分こちらです。
「家具」の言葉に込められた意味は、戸籍に事情がある人間の比喩かなと思われます。
嘉音だけじゃなく紗音の戸籍も細工したのは、人質は2人以上で意味がある事と同じ意味じゃないでしょうか。
自分だけなら思い余って逃げ出す事も出来るかもしれない。でも、相手の事を考えたら勝手な事を出来ない。
戸籍の届出は本来なら親か、親代理の仕事なので、紗音嘉音の場合は孤児院(金蔵)が該当するんだと思います。つまり金蔵は自分の所から逃げたら二度と戸籍の登録はしないよ~、と脅しをかけたんじゃないかと・・・思うんですが、どうでしょう。
多分合ってると思うけど、ここは知識薄いのでちょっと自信が・・・。
ここまで書いてて思うんですが、金蔵ってベアトリーチェと恋人になってやり直したいが為に依り代を育ててる筈なのに、嫌われ街道一直線ですよね。
金蔵の家族も過去ばかり大事にする金蔵から幸せなんて感じなかったでしょうし、確かに金蔵は魔法の才能0なのかもしれません。
実際問題、嘉音は祖父と孫ほど年の違う金蔵に恋愛感情なんて持てなかったでしょう。嘉音ことベアトリーチェが好きなのは戦人なんですから。
戦人の初恋の紗音ちゃんですが、これは多分、紗音・熊沢辺りに協力してもらって戦人の前に出てきた嘉音です。
紗音自体は10年前から右代宮家に勤めていて、これは朱志香・譲治の証言から確からしい部分です。「シーユーアゲイン」の一件も実際に戦人が言ったんでしょう。
ならどうやって紗音と嘉音が入れ替わっていたのか。戦人にばれないで2人1役をするなんて可能なのか。
事の発端は、おそらく嘉音が戦人に恋した事です。ちょっと気になる、位だったのかもしれません。時々島にくる男の子を遠くから見て興味を持った。
会って話したいと思っても、金蔵に人前に出てはいけないと禁止されている。なら、紗音と口裏を合わせて嘉音が紗音として戦人に会えば誤魔化せるんじゃないか、と考えたんでしょう。
ただ、流石に昼間に堂々と入れ替わったら無理がありまして。多分、紗音が個人的に話したい事がある、とか理由を付けて夜の薔薇庭園辺りに戦人を呼び出したんじゃないでしょうか。
明りがなければ、紗音の服を借りて口調を真似る事で誤魔化しは利きそうです。紗音と嘉音の背格好が似ていれば可能かな、と思います。
昼と夜で紗音は別人だった。ミステリー談義やらで盛り上がった紗音は実は嘉音で、戦人が淡い初恋をしたのは彼女のほうだった。多分こんなオチじゃないかと思うのですがどうでしょうね。
ちなみに昼と夜で別人、結構古典ネタです。普通は閨で別人に入れ替わるネタで使うんですけどね。
ベアトリーチェがEP4で語った「戦人の罪」は大方の予想通り「6年前に偽紗音(をベアトと認識せず)に迎えに来ると約束して期待を持たせた事」です。
何故これが罪なのか。単純に嘉音が期待してガッカリした事。それと戦人は知らないとはいえ金蔵の愛人に手を出した事になるので、こっちの影響が大きそうです。
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